令和5年度(追加募集)美浜区地域活性化支援事業における活動支援団体公表の感想

発表されてましたね。以下私なりの感想など。

1.地域づくり活動支援

1)一般社団法人飼い主防災 飼い主力と防災力の向上(ペットと家族の防災対策)
ペットを飼育している方の防災力の向上を図る活動を行う。起震車による災害発生時のデモンストレーションや飼い主同伴のドックラン、野外カフェを通した動物とのふれあいなどにより災害弱者(ペット飼い主)の救済と動物の嫌いな人も好きな人も共に災害を乗り越えられる地域社会の形成を目指す。

正直な感想は、こういう内容でも地域づくりになるんだーという驚きがあります。
結局、具体的な対象物(この場合はペット)さえあればいいのでしょうか

2.区テーマ活動支援

なんと大量5企画採択。うち1つはくるみplusでなぜか前回募集で採択されてたはずなのに取り下げ出しなおしてるみたいですから実質4企画ですが、それにしても、何故みなさん、追加募集になってはじめてエントリーされたのでしょうか?

2)ミット 「知ればもっと好きになる!」子供や学生が高齢者の生活や活動・思いを知るきっかけ作りの為の地域新聞事業
子ども達や学生が取材を通して、高齢者の様々な活動や思いを知り、その記事を執筆・発行する。さらに、地域新聞の発表イベントや取材活動で取り上げた高齢者の体験イベントを開催することで、多世代交流の促進を目指す。

どこが始めたのかと思ったら、くるみplusの別動隊なんですね。実質1団体が多世代交流という目的は全く同じ事業を複数通してもいいんだーという新鮮な驚きがありますが、まぁ市長お墨付きの団体ですし、なんでもアリなのでしょうか。

ウェブサイトがあったので拝見したところ、後付けっぽくなってはしまいますが、私がやりたかったことに取り掛かっているようで、その点はうれしく思います。
私も去年あたりからひっそりとTwitterアカウントを開設し、地味に磯辺など検見川浜・稲毛海岸あたりに関する発信を行っていたのですが、あまりの反響のなさ(そもそも、真砂とか磯辺とか検見川浜とか美浜区で検索する人少なすぎ問題)。ただ真砂と磯辺だけで45000人近い人口があるわけで、ポテンシャルはあると思ってるので陰ながら期待してます。

ただ感じたことは、多世代といいつつ、結局は「子ども・学生」と「高齢者」に終始する2世代交流なんですよね。
結局、こういう既存のステレオタイプな構図が、頭の中がアップデートされてない行政職員にはウケがいいということがよくわかります(このフレーズ、後でも出てきます)

3)みはま腸活部 3世代で繋がるみはま腸活部。アナタの知らない発酵と栄養学の世界
発酵食品づくり体験会などで「楽しく」「気軽に」参加できるイベントとして集客を狙い、様々な世代が集まる場を提供する。その後「測定会」として健康に関する数値を可視化・フィードバックできる仕組みづくりを行う。

これって、発酵食品のイベントをやりたいが先に来てて、多世代交流は後付けですよね?あくまで多世代交流目的が先にあって、その手段として発酵食品なら分かりますが。ただ発酵食品とか健康に関心のある層って、一定年齢以上という実感があるので、これで3世代は無理筋だと思うんですけど、こういうのでも仕立てられたストーリーが行政職員のお眼鏡にかなえば通っちゃうんですね。

私もイベント案は出したのですが、不採択になってるんですよね。一体何が違うのやら???
さらにいえば、私のとこともう1つ前回不採択になった団体があるんですけど、それはマンション管理を主体とする団体でした。
美浜区はマンション住民比率が高いという現状分析から始まり、現時点ではマンション単位での交流はそれなりにあるが、違うマンション間どうしの交流は必ずしも活発とはいえない。だから違うマンションの住民どうしの交流を促進することで地域活性化をはかるというアプローチは、小さな頃から美浜区住民である私には、美浜区の特性をとらえた大いに納得できるものでしたし、斬新でおもしろいなーと感じていました。

しかし結果は不採択。おそらく、美浜区幹部職員には、美浜区出身者も美浜区住民もいないので、美浜区の現状が理解できていないのでしょう。こうした方たちが区長だの地域振興課長だのを名乗っていることが私にとっては大いに驚きですが、彼らはふだん一体何を見ているのでしょう???

ただ、このような、いってみれば、いろいろな人が集まりそうな、かつ勉強していない行政職員の頭でも理解できそうなシンプルなイベント案「だけ」出せばなんでも通りそうなので、次年度以降応募希望の団体にも非常に参考になる審査結果ではないでしょうか。

4)くるみplus 地域コミュニティの基盤を生かした、多世代がつながる地域活性化事業
子どもから高齢者まで自分が活躍できて安心して暮らせる地域づくりや世代を超えた繋がりを創出することを目的とし、地域住民が気軽に通いやすい場所づくりとそこで全世代が活躍できる仕組みを提供する。

1回採択された後、何故出しなおされたか分かりませんが、内容にはほぼ変化はないと思います。ただ繰り返しになりますが、「子どもから高齢者」とありますが、実質「子ども」と「高齢者」なんですよね。それと多世代をうたってますが、ここのコアメンバーは写真などをみれば分かるとおり、ほぼ同じ年齢層で構成されており、本音と建前の乖離を感じます。(この辺は後で詳しく触れます)

5)放課後宿題カフェ 地域で多世代の人が関われる場所として、放課後宿題カフェを運営する。宿題のサポートや食事提供、地域活動への参加を行うことにより、お互いの顔を知り、普段からコミュニケーションを取れる関係を築くことを目指す。

ネット検索にはかかりませんでしたが、こども食堂と同じ類型ですよね。もし大阪ですでに展開中の組織が来ているのだとしたら、そこから示唆される事実は、こども食堂と同じような企画といえば話がわかりやすいこと、千葉市は新規事業のエントリーを呼びかけてはいますが、実質新規団体は相手にしていないということ。既存の団体がちょっと趣向を変えて新規事業としてエントリーをするのを待っていることがよく分かります。保守的過ぎて役に立たないといわれる銀行系ベンチャーキャピタルみたいなものですね笑

で、ここでもキーワードは「子ども」。子どもというキーワードさえ出しておけばウケがいいことがよく分かります。
ただ、こういう場があるのはとても素敵なことだと思いますが、結局は能動的な人しか参加しない・できないのかなと思います。でも、それ以外の人はほおっておいていいんでしょうか?

6)わくわく学校 多世代をつなぐ習い事事業 地域の方が得意とすることを地域の方へ教える「地域習いごと事業」を実施する。これにより、子どもや、その親世代、高齢者などの多世代交流を促進し、地域コミュニティを強化することや、人との交流を深め支え合える仕組み構築を目指す。

こういう企画もアイディアとしてはとても好きです。ただこれも結局「子ども」なんですよね。「親」というワードは「子」に対する対語として出てくるわけで。それにやっぱり登場するのは「高齢者」。やはりこのようなステレオタイプな構図でないと、アップデートされてない行政職員には理解されないのだなと改めて感じました(何度目?笑)。
そして、これもまた能動的な人でないと参加しないですよね。(以下同文)

まとめますと、

①「子ども」「高齢者」というキーワードを押し出し、既存のステレオタイプの構図に当てはめるとウケがよい
②内容は特化し、とにかくシンプルでわかりやすい方がいい(勉強してない、する気もない行政職員に理解できるレベルにまで落とす必要あり)
③実質、すでに活動実績のある既存の団体でないとなかなか受けいれられない

特に②については、私はこの補助金にエントリーするまで、千葉市職員の方々は、みなさんそれなりの方で、ましてや地域振興課という部署にいらっしゃる方は、知識も経験もそれなり以上にある方だと思い込んでましたが、単にローテーションでその役が回ってきただけで、現在の職責をプロとして果たそうとする気持ちを欠いた方たちなのだなと実感しています(普通、新しいポジションに付いたら、その世界について相当勉強するのが当たり前だと私は思うのですが、そのフシがない)。要は一般市民と同じレベルだということです。多分まちづくりに関心のある市民の方がこの界隈について詳しいくらいでしょう。つまり、一般市民にわかるレベルで資料を作りプレゼンをしなければならないということです。

行政職員のレベルがこうであるならば、本来審査委員は外部の専門家に委嘱するべきでしょう。実際、私が関与したキリン福祉財団の助成金の審査委員は、キリン側の人は誰1人おらず、5人全員が学識経験者か実務家です。今回も外部の専門家(大学の先生など)が2名審査委員に入ってらっしゃいましたが、何とその2名の方は参考意見を募るだけの単なるオブザーバーだそうで、これって純粋に事業案の精度では決めない、別の恣意的な要素によっても判断すると言っているようなもので、透明性も何もあったものじゃないです。実際、落選理由などは一切教えてくれません。例えば芥川賞直木賞でも、落選作には次回への参考になればと何らかのコメントが送られ、透明性は保たれているのに、です。

なんだか公共工事の入札あたりと勘違いをされているのかなと思います。このような審査は、地域活性化という目的を考えれば、「落とすための」審査ではなく、「通すための」審査をしなければならない。もちろん点を甘くしろ、とかそういうことを言っているのではありません。至らない点があれば、そこを具体的に指摘し、ここを改善してくれれば、採択ラインに達するから次回がんばってくださいといったサポートをする基本姿勢が求められるのではないでしょうか。そして、もちろん採択例についても、何故採択したかその理由を公表すべきです。どの点を高く評価したから選んだかを公表することは透明性を担保するとともに、後に続こうとする団体にとっては大いに参考になることです。

はっきりいって、民間企業が出資する補助事業などなら、どのような審査をしようが自由だと思います。しかし、この事業は千葉市が主体です。原資は税金であり、千葉市職員が稼いだカネではありません。だから透明性を高く保つ必要があります。なのに、審査過程も採択理由も一切公開されないなど、本来バカげた話です。

さらにいえば「最近応募団体が少ない、活動が下火だ」といった感想だけを公式の報告書につらつら連ねる評論家のようなスタンスに終始する美浜区って千葉市職員ってなんなんでしょう?しごとをするうえで「評論家」は要らない、要るのは「実務家」だけ、とは私が会社に入ったときに上司から教わったことですが(その上司は副社長にまでなりました)、こうしたしごとをするうえでの基本的姿勢を欠いた職員が千葉市にはあまりに多い。そりゃ、こういう冷たい仕打ちをせっかく立ち上がった地域住民に向け続けていれば、そういう結果になります。単に当落を決め突き放すのではなく、せっかく名乗りを挙げたところについては、フォロー・サポートを地道に行っていったり、さらにいえば、企業誘致においては千葉市担当者が足しげく企業の下に通ったそうですが(当たり前のこと)、何故、同じ千葉市の組織である地域振興とか福祉のセクションはそうしたアクションを行わず、ただ単に制度だけ用意してひたすらエントリーを待つのみなのか、不思議です。例えば住民運営の通いの場降給(介護保険がらみ)という事業があるのですが、設置数の数値目標が千葉市福祉計画に明記されています。しかし、昨年度は完全に未達でした。おそらく今年度も無理でしょう。にもかかわらず、そのことを主管課担当者に質問したところ、まるで他人事、評論家のような返事が返ってきました。目標など達成しようがしまいが、自身の待遇には微塵の影響もない公務員の悪いところが詰まっています。いわずもがなですが、民間では目標未達は、降給降格、最悪解雇もありえます。

もし、こうした事業を盛り上げたいのであれば、ただ単に口を開けて待っているのではなく、ふだんから区内にアンテナを高く張って、見込みのありそうな団体には事業へのエントリーを働きかける、そういった能動的な行動が「実務家」には求められますし、そのための区制ですよね?本庁舎だけでは目が行き届かないから、少しでも地域住民に近いところへ、という趣旨で6つの区役所は置かれているわけで、もしそういう行動を起こす気がないのであれば、区制など税金の無駄遣いでしょう。別記事に書きましたが、実際同じ政令指定都市である浜松市では、区数の縮小を行うことで6億円ほど節減するそうです。現状の区制が6億円に見合った効果がないと判断したということになり、それはそれで英断だと私は思います。話が少しそれましたが、能動的な美浜区側、千葉市側のアクションが、こうした地域活動に携わる団体の分母を増やし裾野を広げることにつながるのではないでしょうか。

私は、今回採択された各事業の意義を否定するつもりは毛頭ありません。しかしながら、私が懸念しているのは、子ども(学生含む)、高齢者、親世代といった、メインストリームを歩む人たちにばかりスポットが当たっていて、それ以外の層がないがしろにされていること。具体的には30代半ば以降から50代までのメインストリームから外れている層(例えば単身者等)。この属性の層に対する孤立・孤独対策はどうでもいいのでしょうか?(それこそ国の施策でもあるのですが、本当に千葉市職員は知らないのでしょうか?)
先日、小田急線内無差別傷害事件の判決が出ました。犯人は30代後半の男で、世間からの孤立感を増幅させての犯行と分析されており、新聞の記事などを読むと、そういう悩みを吐き出す場があればこうした犯行は起きなかったかもしれないという識者のコメントも載っておりました。そしてかつての宅間伸(すでに死刑執行済み)も同じ年齢層です。

就職氷河期世代は言うに及ばず、ひきこもりもそうですし、そうした層へのケアが急務であると私は考えています。上記にとりあげた犯罪はレアケースかもしれませんが(そういえば、秋葉原殺傷事件の加藤も同世代でした)、大げさにいえば、安全保障の観点からみても、人と何となく雑談ができる場、つながれる場が地域には必要と考え、先般事業企画を立案し、この地域活性化支援事業にエントリーしたのですが、所詮勝ち組である行政職員や大学の先生には全く理解されず、甚だ残念です。たぶん見えている世界が違うのだと思います。少数派にもやさしい行政を望みます。