【本の感想】新しい地域ネットワークの教科書

伊藤幹夫氏著 あさ出版

繰り返し読み、もはや私のバイブルとなっている書
視点が類似書と比較して鋭く、実践にこだわっているところがとてもよいです。

例を挙げればキリがないのですが、
・地域のことを話すのに「共通言語」がない現実
・右肩上がりの価値観が残っているがゆえに、縦割り。自分たちの役割以外に関心がない。
といった指摘から始まる鋭い切り口。

結局、こういう的確な問題意識があり実践力のある方が「町内会長」というポジションに就かないと何も変わらないのでしょうか?
いわゆる「居場所」のことも書いてあり、何故、この概念を理解していただけず、ハナから話すら聞いてもらえない私の現状を思うと、歯がゆくさえなります。
ただ切り口が分かりやすい。「居場所」にも2種類ある。「目的型」と「共生型」。「目的型」はほとんどの人が想像する方。高齢者サロン、同世代の集まり、百歳体操など。あらかじめ目的が明確である場所。私の提案を真っ向から否定した某地域運営委員会の担当の方も、この発想に凝り固まっていらっしゃった。一方私が志向する「共生型」は、いつでも誰でも参加できる、出入り自由の居場所。生きづらさを抱える本人や家族が、ふらっと散歩がてらに気軽に顔を出せ、一人で過ごすのも自由。地域共生のイメージを先取りして体感できるとのこと。

この著書は、いろいろな呈されるであろう疑問に対し、1問1問とっても丁寧に答えていきます。
「地域活動には時間がかかって当然」という半ば固定観念に対し「いや、拙速でもいいんだ」と答えてくれるところ、とても勇気づけられます。
具体的にこうしてはどうか、という実践案も豊富です。私がここまでとってきた行動は妥当だったのか、振り返りにもとっても役立ちました。

ほんと、地域活動に携わる人は、特に行政職員、全員読めよ!というくらいの名著です